人がいる環境において空中浮遊ウイルスの
感染価の減少を目的として開発されました。

スクロール

空中浮遊ウイルスの感染価を
減少させる
プラズママイクロミスト

プラズママイクロミストは、ナルックスの微細加工技術と東北大学の低温プラズマ技術とを融合して生まれた、人にやさしい空気清浄システムです。水、電気、空気などの無尽蔵資源を用いて空間をクリーンにします。コンパクトなモジュールで幅広い用途のアプリケーションへの対応が可能です。

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Concept

2000年以降、SARS(重症急性呼吸器症候群)、エボラウイルス病、中東呼吸器症候群(MARS)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と、感染症の世界的流行が後を絶ちません。今後も新たな感染症の出現が危惧されており、速やかなウイルス不活化技術の確立が急務の課題となっています。環境中のウイルス不活化でしばしば検討されるオゾンや次亜塩素酸は、人体への影響から使用環境に制限があります。そこでナルックスは、人がいる環境で空中浮遊ウイルスの感染価の減少を目的とし、研究開発を行いました。

Technology

薬剤を使⽤することなく、電⼒を⽤いて空気と⽔から除菌能を有す活性『過酸化亜硝酸(HOONO)』をその場で⽣成するプラズマ技術によって、人がいる環境でも安心して使えるウイルス感染価の減少システムを実現しました。

Features

プラズママイクロミストの技術の特徴

  • 01

    プラズマ

    太陽、その太陽から莫大なエネルギーを吹き出す太陽風、雷、オーロラ。これらは「プラズマ」という物質からなりたっています。固体、液体、気体に次ぐ第四の物質“電離気体”プラズマは、宇宙の物質の99%以上を占める“生命の起源”とも言える存在であり、現代ではテレビ、蛍光灯、空気清浄機、車のヘッドライトなどにも活用されている、私たちの毎日の生活に決して欠かせない存在です。

    プラズマ
  • 02

    プラズママイクロミスト

    プラズママイクロミスト

    H2O2 + HNO2 + H+ → HOONO + H2O + H+
    HOONO + 有機物 (菌・ウイルス・臭気物質) → 失活物・分解物
    HOONO ⇄ OH + NO2
    OH + 有機物 (菌・ウイルス・臭気物質) → 失活物・分解物
    HOONO ⇒NO3- + H+

    ミクロンサイズの微細なミストに特殊な電圧をかけてプラズマを照射することにより、ミストの中に過酸化亜硝酸(HOONO)という不活化因⼦が産まれます。当プラズママイクロミスト⽣成機は、特殊なプラズマを精密制御しながらミストを活性化することで、HOONOの原料となる過酸化水素 (H2O2) や亜硝酸 (HNO2) を必要な分だけ作り出します。原料が枯渇するまで、HOONOは生成され続け、やがては人体へ安全な硝酸イオン (NO3-) へと変化します。こうして、反応活性を一時的に有するプラズママイクロミストを実現しました。さらに、当装置ではオゾン水クラスター [O3・(H2O)n] の放出により、上記の殺菌・消臭効果をアシストします。

  • 03

    ウイルス感染価減少メカニズム

    不活化メカニズム

    プラズマ照射ミスト中のHOONOは、コロナウイルスのスパイクタンパク質変性や膜透過して内部のRNA分解に寄与することが期待されています。HOONOは、さらに反応性の高いOHラジカルやNO2ラジカルと化学平衡の状態にあるため、こうしたラジカルを対象の内部へ送り届けることができ、効率的なウイルス感染価の減少をもたらします。

  • 04

    環境や人体への安全性

    クリーンな生成
    ⽔と電気と空気から、有用な活性種であるHOONOを作り続けるクリーンな技術。
    人体にやさしい
    HOONOは、熱に⾮常に敏感であるため、体温では速やかに分解します。よって、⽣体表⾯・内では分解が優勢となり、すぐに安全な硝酸イオンへと変化します。 ※硝酸塩は⾷品添加物として使⽤されています。
    低オゾン
    単体のオゾン (O3) よりも、非常に効果的と予測されているオゾン水クラスター [O3・(H2O)n] により、低いO3密度でより高い効果を狙っています。また、O3のみに頼らない技術のため、オゾン排出量を低減しながら、非常に効果的に空間をクリーンにすることができます。
方式 不活化因子・機構 メリット デメリット 範囲 無人空間 有人空間 対モノ ランニングコスト メンテナンス性
プラズママイクロミスト 過酸化亜硝酸とオゾン水クラスター 広範囲
高い即効性
低い残留物毒性
メンテナンスフリー

広範囲
クラスターイオン 細胞膜表面でのOHラジカル生成 薬剤を使用しない
メンテナンスフリー
不活化効果が比較的低い
クラスターイオンの効果である
科学的な裏付けがほとんどない

流量に依存

効果が弱い

効果が弱い
×
UV DNA損傷 高い即効性
薬剤を使用しない
照射距離によって効果が減衰
影になる部分には効果がない
ランプの定期交換が必要
人体への使用制限がある

※影部分に効果なし、
距離に応じて効果が減衰
×
※樹脂製品は劣化
×
交換の光源が高額

ランプの
定期交換が必要
オゾン O3による酸化
※一部のウイルスには効果なし
広範囲
薬剤を使用しない
高湿環境でないと効果が低くなる
有人環境での使用制限がある ※0.1 ppm以下
ゴムや鉄を腐食させる

※高湿度下でないと効果が低い

※使用制限
(< 0.1 ppm)

※ゴム、鉄は腐食
オゾン水ミスト O3による酸化
※一部のウイルスには効果なし
ガス状オゾンより発生量を低くできる
薬剤を使用しない
空間ではなく、モノが対象
空間を漂うような細かいミストにしてしまうと、オゾンが直ちに気相へ抜ける
液相オゾン発生器の定期メンテナンスが必要
×
対象物のみ
×
対象物のみ
×
対象物のみ

発生器の
定期メンテナンスが
必要
HEPA
カーボンフィルター
フィルターで捕集 薬剤を使用しない フィルター交換が必要
吸引力とフィルター密度に依存
フィルターに菌や有害物質を蓄積

流量に依存
×
フィルター費用

定期的に
フィルターを交換
光触媒 光触媒反応による
DNA損傷・タンパク質分解
薬剤を使用しない
高いメンテンナンス性
効果範囲が狭い
初期コストが高い
有害物質の蓄積

流量に依存
× ×
定期メンテナンスが
必要

※不活化能力については、各製品のスペックによる

Tohoku University technology

低温プラズマ技術
東北大学 大学院工学研究科 非平衡プラズマ学際研究センターでは、未知の領域・未来科学技術開拓の担い⼿である⾮平衡(低温)プラズマの基礎的挙動と物性を解明することにより、新しい⼯学的応⽤を切り拓くことを⽬的とした研究を⾏っています。特に、⾮平衡プラズマにより過渡的に⾼効率⽣成される、物質合成前段階の「前駆体」、安定化学物質⽣成前の「短寿命活性種」を活⽤した、新概念の材料プロセスや⽣体・植物機能制御に注⽬し、⽣体細胞への薬剤導⼊や植物の成⻑促進、また化学薬品を使わない殺菌・消毒へ応⽤する研究に取り組んでいます。
非平衡プラズマ学際研究センター長の⾦⼦俊郎教授と佐々⽊渉太助教のチームは、わずかな電⼒を⽤いて、身の回りにある空気と⽔から様々な化学種HxNyOzをその場合成する「プラズマ技術」を保有しています。その知見を応用し、ミストの中に短寿命活性種である過酸化亜硝酸(HOONO)を持続的に生成する『プラズママイクロミスト』を作ることに成功しました。活性種の化学反応を計算機シミュレーションで正確に予測することで、ミスト中のHOONOの濃度や半減時間を自在に制御する技術も有しています。
東北大学のプラズマ技術

Interview

01東北大学のプラズマ技術

東北大学では身の回りにある空気を使い、わずかな電力でプラズマを発生させ、除菌や植物の栽培など様々なことに応用しています。その取り組みの1つとして、プラズマで生成する活性酸素種または活性窒素種を水ミストの中に入れ、過酸化亜硝酸という除菌成分を持続的に作る仕組みを開発しました。

東北大学のプラズマ技術

02ナルックスとの共同開発

東北大学のこの低温プラズマ技術とナルックスの微細加工技術を融合して共同開発したのが、プラズママイクロミストです。独自の装置で環境中に過酸化亜硝酸ミストを噴射することで、効率的なウイルス感染価の減少や除菌を実現します。より詳しい不活化メカニズムを解明するため、引き続き研究を進めています。

ナルックスとの共同開発

03安全性と可能性について

過酸化亜硝酸は室温にて短時間で硝酸イオンに変化します。硝酸イオンは比較的安全な物質のため、空気中に放出しても有害性はほとんどないと考えられます。そのため今後、農業や医療の現場など安全性が求められる様々な用途での展開が期待できます。

安全性と可能性について

Use Cases

プラズママイクロミストモジュールを組み込むことで、プラズママイクロミストのクリーン技術をご活用いただけます。

ロボット掃除機
空気清浄機
加湿器
エアコン
空調システム
農業施設

プラズママイクロミストの技術は様々な製品としてご使用いただけるだけではなく、人体に影響もないため、医療現場から企業、ご家庭まであらゆる場面でご使用いただくことを想定しています。

  • 医療現場
  • 介護福祉施設
  • 保育所
  • 車内
  • 交通インフラ
  • 家庭
  • 工場
  • 農業現場
    (畜産・園芸)

システム構成図

システム構成図

Evidence

山口大学獣医学部の早坂教授との共同研究で行った、新型コロナウイルスの不活化試験では、10分間のプラズママイクロミスト処理で99.78%以上ウイルス感染価の減少を達成しました。※オミクロン株を使用

Experimental results

ウイルス・消臭試験

  • 01

    新型コロナウイルス [SARS-CoV-2 (BA.2)]

    浮遊新型コロナウイルスを⽤いた有効性検証

    10分で99%以上のウイルス感染価を減少
    ※試験空間:1m3、試験方法:プラークアッセイ

    新型コロナウイルス [SARS-CoV-2 (BA.2)]
  • 02

    インフルエンザ

    浮遊インフルエンザウイルスを⽤いた有効性検証

    30分で99.9%以上のウイルス感染価を減少
    ※試験空間:28m3、試験方法:TCID50アッセイ

    インフルエンザ
  • 03

    メチルメルカプタン

    60分で0.03 ppmから0.0001 ppm以下まで減少

    ※試験空間:1m3、定量方法:低温濃縮/ガスクロマトグラフィー

    メチルメルカプタン
  • 04

    硫化水素

    120分で0.59 ppmから0.064 ppmまで減少

    ※試験空間:1m3、定量方法:低温濃縮/ガスクロマトグラフィー

    メチルメルカプタン
  • 05

    イチゴ炭疽菌

    未処理

    未処理

    プラズマ活性ミスト

    プラズママイクロミスト

    30分処理で発芽率をほぼ0%に

    ※1 50 μLの菌液 (~107 conidia/mL) に対して、10 μLのプラズママイクロミスト回収液を添加
    ※2 処理後8~10時間後に発芽率を計測

プラズママイクロミストは
東北大学NALUXだけの独自技術です。

プラズママイクロミストは、ナルックスの微細加工技術と東北大学の低温プラズマ技術とを融合して生まれた、人にやさしいウイルスの感染価を減少させるシステムです。水、電気、空気などの無尽蔵資源を用いて空間をクリーンにします。コンパクトなモジュールで幅広い用途のアプリケーションへの対応が可能です。

  • プラズママイクロミストは特許を取得しています。

    【特許番号】特許第7361324号(P7361324)【登録日】令和5年10月5日(2023.10.5)【発行日】令和5年10月16日(2023.10.16)【発明の名称】噴霧装置及び噴霧方法【特許権者】ナルックス株式会社・国立大学法人東北大学

  • JST A-STEP産学共同(本格型)事業に採択されました。

    令和3年度のJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)A-STEP産学共同(本格型)事業に採択されました。本事業は、社会課題解決等に向けて、大学等の基礎研究成果を、企業との共同研究に繋げるまで磨き上げ、共同研究体制の構築を目指す事業です。

Company

ナルックスホールディングス株式会社
ナルックス株式会社

世界最高水準の光学設計、ナノレベルの微細加工、スマート生産システムを武器に、光通信から自動車、産業機器・事務機器、ヘルスケアなど多岐にわたる産業分野に高付加価値の光学部品を供給。

会社名ナルックスホールディングス株式会社
ナルックス株式会社
本社〒618-0001 大阪府三島郡島本町山崎2丁目1番7号
TEL075-963-3456
FAX075-963-3450
代表者代表取締役 社長 北川清一郎
創業昭和5(1930)年
創立昭和23(1948)年7月
資本金ナルックス単体 8000万円 グループ合計 2億1826万円
年商 73.4億円(2023年3月31日現在グループ合計)
1986年より2021年まで東淀川淀優会(優良法人の会)に加入
2022年6月茨木優良申告法人会へ加入(本店住所変更に伴い東淀川淀優会退会)
※表敬訪問:2021年11月優良申告法⼈として所轄税務署より表敬
※1970年より53年間連続で黒字
従業員数(2023年3月31日現在) ナルックス単体 302名 グループ合計  391名
主要取引銀行三菱UFJ銀行 天六支店、京都銀行 山崎支店

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