赤外線(IR)領域に対応する光学レンズはゲルマニウム(Ge)、カルコゲナイドガラス、シリコン(Si)と言った、可視光領域とは異なる特殊な材料が使用されています。 しかし、これらの材料は素材そのものの価格が高く、また加工も難しいため高コストとなります。
また、材料によっては毒物を含むため取り扱いに注意を要するなど、様々な課題がありました。
ナルックスはこれらの課題を解決するため、これまで培ってきた微細加加工・成形および自由曲面の技術を用いて、遠赤外線分野に樹脂製光学素子・ユニットの提案を行っております。
高密度ポリエチレン(HDPE)は赤外線領域で光透過性を有する樹脂材料です。
しかし、その透過率は低く、通常のレンズ形状では十分な光透過率を得ることができきません。
ナルックスではレンズ形状のフレネル化と微細加工・成形技術にて極限までレンズの薄肉化。 樹脂製でありながら十分な透過率を有する赤外線向けレンズを実現しました。(特許第5584870号)
本レンズは、空間温度センサなど、比較的低解像度のアプリケーションで、コスト要求の厳しいシステムに最適です。
レンズとしての用途だけでなく、光学機能を持たせたカバー、ウィンドウとしてもご使用いただけます。
一般的な光学系は光がレンズ内を透過するため、光透過性を有する材料で作製する必要があります。
可視領域では樹脂、ガラス、石英等の透明な材料が用いられていますが、
これらの材料は遠赤外線領域では光を通さないため、
遠赤外線領域では遠赤外線を透過するゲルマニウムやカルコゲナイドガラス等の特殊な材料が使用されています。
一方で、反射光学系は材料表面の反射のみを使用するため、使用する材質の光透過率は問題となりません。
また、アルミ、金等、可視~近赤外領域でも用いられている金属コーティングは
遠赤外領域でも高い反射率を有することから、樹脂表面に金属膜コーティングを行う事で、
可視領域から遠赤外線領域まで均一で高い反射率を有するミラーを作製することができます。
ナルックスでは、樹脂表面に金属コーティングを行ったミラーを用いた、遠赤外線向け反射光学系ユニットの提案を行っています。
レーザビームプリンタ用fΘレンズにて長年培ってきた自由曲面光学素子の設計・作製技術を応用することで、高品質な反射光学系ユニットを実現しています。(特許第4423380号、特許第4947563号)
また、反射光学系は、色収差が発生しない事も特徴の一つです。
遠赤外線画像撮影用としてだけでなく、分析用途等、可視~遠赤外まで広い範囲で光を利用する用途にも最適です。