導光板・導光棒

導光板・導光棒とは

21世紀に入ってあらゆる領域に急速に普及したLED光源ですが、点光源であるLEDの光を、面状やライン状の光へと変換するために用いられるのが導光板や導光棒です。 これらはまとめて導光体、ライトガイドなどとも呼ばれます。

導光体の特徴

導光体の側面から入射した光は全反射により導光体内部を伝搬しますが、表面に溝やドットなどの凹凸形状があると、光の反射や散乱が起こり、外部へと出射(発光)されます。その発光エリアや光の強弱は、凹凸パターン(光学パターン)の密度や内部を伝わる光(光束)の密度によってコントロールすることができます。

旧コルコートのオプトロニクス事業部は光学パターン設計と加工の課題を克服し、いち早く射出成型による導光体の量産実用化をしました。ナルックスの導光体技術は、その事業を継承し、ナルックスの技術と融合したものです。
自動車室内のインテリア照明、クロック発光指針、スキャナの読取光源、プリンタドラム除電光源、家庭用保安灯、インジケータ(発光表示)など、当社が設計・製造している導光体の用途は、実に多岐にわたっています。導光体の可能性追求と用途展開に一貫して取り組み、様々な業界に向けて開発/供給してきた随一の経験を元に、個別ニーズに合わせた最適なソリューションを提供します。

導光体の基本原理

液晶バックライト用導光板

液晶パネルのバックライトには導光板を使うエッジライト方式と、発光面の裏側にLEDを配列させる直下型方式があります。導光板を使うエッジライト方式は薄型化に有利なため、20インチ以下の画面サイズでは、主にエッジライト方式が採用されています。

ナルックスの液晶バックライト用導光板の強み

当社のバックライト用導光板は、微細なプリズムパターン(マイクロプリズム)を金型に機械加工で高精度に作りこみ、これを精密に成形品に転写します。

金型への光学パターンの別の形成方法としては、スタンパー方式があります。
マイクロプリズム方式は、望む方向へと選択的に光を反射させて効率よく利用することができ、上下両面に形成するプリズムの稜線や断面形状の最適設計により、輝度均一性もさらに向上することができます。
優れた特性や品質安定性が評価されて、最も要求仕様の厳しいプレミアムカーのデジタルメーターを中心に採用されています。また近年の車載用デジタルメーターには、異形状や湾曲した液晶が用いられるようになってきています。これら特殊液晶に対応した導光板も、当社はいち早く量産実用化に成功しました。

理想的な配光角度分布

スタンバー方式(ドット方式)光源反対方向に偏った配光角度分布
当社マイクロプリズム方式光学シート構成に合わせてプリズム断面形状を最適化設計

高い取り出し効率

スタンバー方式(ドット方式)ドットに当たった光の一部が取り出され残りは拡散
サイド及び対向辺エッジからの漏れ光が大きい
当社マイクロプリズム方式プリズムに当たった光は取り出され残りは直進
対向辺に到達する前に最大限の光が取り出される

イメージスキャナ照明用導光棒

リニアイメージセンサを使ったスキャナでは、読み取りエリアを照明するライン光源が用いられます。導光棒は、端面に配置されたLEDからの光を導いて、細長い帯状のエリアを無駄なく均一に照明する働きをします。

ナルックスの導光棒の特徴

均一に光を取り出すために、マイクロプリズムを導光棒の一方向に形成しますが、これは液晶バックライト導光板で培った技術を展開したものです。マイクロプリズムの断面形状やピッチを最適化する設計と加工技術には、導光板で培われた技術蓄積が活かされています。

マイクロプリズムで反射された光は出光面のレンズ機能により集光されます。密着光学系(CIS方式)ではすでに採用されていた導光棒方式ですが、特許取得した独自の配光制御方法と、それを実現する精密加工技術とを確立し、要求仕様が厳しい縮小光学系(CCD方式)まで採用範囲を広げました。

特許技術

出光面にカマボコ状の光拡散用突起を形成し、位置によって突起の高さ/径/本数などを変化させることにより、照度の暴れを抑え込み、安定した照度特性を実現します。

豊富な開発/量産実績

導光棒長さは120mmのから460mmまで。光源は白色LEDと3in1タイプLED。用途はオフィス用複合機、紙幣識別機、マークシート読取機、ホワイトボード、高速ドキュメントスキャナ。読取方式ではCIS方式とCCD方式。多岐にわたる導光棒について、様々なユーザー様の個別要求に合わせて設計開発してきた豊富な実績があります。スペース制約が厳しく成形上も難易度が高い製品になりますが、光学シミュレーションを駆使しながら用途に合わせた最適なQCDバランスでカスタマイズいたします。

なお、プリンタ電荷消去用導光棒(イレイサー)についても対応可能です。

特許4798563、特許5360646

発光表示用導光体

射出成形法で作られる導光体は、インジケータ(発光表示)の設計自由度を大きく広げ、動作ナビゲートを直感的に分かりやすく伝えたり、デザイン性を高めて商品価値を高めることに貢献します。また、電子基板を設置できない箇所にも表示させることができるようになります。

ナルックスの導光体の強み

導光体を機器に組み込んで効果的に光らせるためには、多岐にわたる専門知識と経験が必要です。固定のため構造物、ゲート跡、突き出しピン跡、ウエルドライン、これら全てが見栄え悪化に繋がります。
当社は様々な業界のお客様と、装置の企画段階から参画して数多くの導光体開発を行ってきました。反射/屈折で光をコントロールするための設計ノウハウも豊富に蓄積されています。形状も光らせ方も異なる様々な個別ニーズに合わせた合理的な提案・支援を行い、カスタマーサクセスへと導きます。

ロボットのインターフェイス(HMI)としての発光表示

配膳ロボット、清掃ロボット、物流ロボットなど、人と同じ空間で自律移動して働くロボットを目にすることが日常的になってきました。これからは、人間とロボットが互いに緊密なコミュニケーションをとりながら協力して生活や社会を築いていく時代になります。
協働ロボットにおいては、コミュニケーションを円滑化する発光表示が、効率的な作業や相互信頼の構築に貢献します。
「ロボットが何を行おうとしているのか」、「どのようなタスクを遂行中なのか」、「私たちに何を求めているのか」、分かりやすく素早く周囲へと伝えることが重要で、それ無しで私たちは適切な行動を敏速に取ることができません。液晶ディスプレイのような規格化された表示装置は情報量には優れますが、周囲に直感的に情報伝達するには不十分です。ボディの適切な箇所に発光表示を配置することで改善されます。
人とロボットとの共生する未来を見据えながら、ナルックスは導光体技術を先へと進化させています。

流光棒

帯状のエリアの片端部あるいは両端部に配置した少数のLEDだけで、多彩な演出表現を可能とした画期的な発光表示方式です。
全体を均一に光らせることができ、流れるように滑らかな動きのある発光(アニメーション)もできます。
RGB3in1タイプのLEDを使って電流制御を行うことで、多彩なカラー演出ができます。

流光棒の特徴と適する用途

  • LEDのツブ状感が無い均一なライン発光が得られます。ツブ状感は落ち着きある品位感を損ねるため、これを嫌う自動車室内のライン照明(アンビエント照明)には導光棒が以前から用いられています。流光棒を使用することで、それにプラスして多彩な演出表現が可能となります。ADやADASの高度化で伝えるべき情報が多様化する中、イルミネーションを兼ねた最適な表示装置を提供します。
  • 設置の自由度を広げることができ、自律移動ロボット、協働ロボットのHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)として適しています。
  • デザイン性に富み安らぎをもたらす表示ができるため、空気清浄器や浄水器などに搭載すれば、機器の作動状態を可視化することで情緒的価値や体験価値を高めます。
  • 光の色や動きで直感的に分かりやすい情報伝達ができ、操作や動作のナビゲートに適します。
  • 静電容量式タッチセンサと組み合わせ、タッチ入力デバイスを実現します。